見せたい詩/円谷一
 
するように君の祖父に改造してもらった蓄音機は「ドラマチックレコード」を流している 誰も延々と流しているとは思わない 一つの終わらない歌として聴いている
 倒れている丸太に座っている君の横に行って頬をくっつけて優しくキスをする 君の目を見る 人形のように瞬きをしない
 腰に手を回して右手を握る 彼女のことを思い出しそうになった ようやく君は僕の何処かを見て微笑んだ 君は何を考えているんだろうか
 雲が消えて夕刻 空を覆っているクモの巣は人と人をインターネットで繋いでいる 巨大なクモはクモの巣を揺らして巨大な水滴を落とした 湖が一つ生まれた
 外は肌寒く 僕達は門限を守らない 目を瞑る 夜の海
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