夏の骨/今唯ケンタロウ
 

 そのちいさなビンのなかにつめられていた手紙のもじは、ほとんどがきえさってしまって、よみとることはできなかった。
 ビンのそこにすこしだけちらばっている砂のつぶのようなもの。
 ビンにはかわいらしい貝がら、それに死んだひとでが付着してひからびていた。


 からっぽだっていうことは、もうかなしくなくて、ただそのビンをにぎりしめたとき、よくわからないけどたぶん、いとしいというきもちがこころのどこかでうまれてしまったのだった。








 だれかの旅がおわった。



 
                    五
 
 夜の砂浜で、チカチカ、キラキラ
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