夏の骨/今唯ケンタロウ
……ぼくはいそいでそのゆめからのがれようとした。おそろしいスピードでとけてゆく、肉のかたまりが、ぼくをおいかけてきたんだ…… とけながら、肉はおおいかぶさるようにして、とうとうぼくのゆくてをふさいだ。ぼろぼろこぼれおちる肉のはへんは、あおじろい足元にすいこまれて、とてもしることのできないふかいあおのふかさまで、おちていくみたいだった。肉はとけつづけながら、とけつづけながら…… ……ぼくは肉がこぼれおちていく、その、とてつもないスピードが、かなしかったの…… ……
四
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