蜜色の夢/朽木 裕
お終いにしてくださる?」
私は君など愛していない。私が好きなのはあの雨の日に震えながら縋り付いてきた白い方、だ。写真を撮ることがとても好きで何処へ行くにも首から一眼レフをぶらさげて。綺麗に撮れると真っ先に見せにきた。「綺麗だね」って云うと目をキラキラさせて犬みたいに喜んでいた。私の言葉を存在を世界で一番待っていたみたいに。
幾日か眠れずにいると、私が好きな白い方は、不意に居なくなる。居るけどいない。居ないけれど、いる。透き通った綺麗なグレイッシュの瞳は狂気を孕んだ目になって、ぼうっとした間の抜けた動きは活動的に暴力的になる。
「煩い、お前さえ居なければ、」
云いな
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