停泊する夏/前田ふむふむ
るほどの、帽子を持たない少年たちは、
いまも復員をし続けている、
落葉を積み上げたパソコンの、
眩しいディスプレーのふもとに。
「父さん、もう随分と石を積んでいるけれど、
どうして山ができないのだろう。」
誰もいない居間で、(何処かで見た廃園のテラスで)
携帯電話が、きょうも鳴っている。
・ ・・・・
京都から東へ新幹線の窓を走らせる。
黒く流れる時間の瀑布
裂きながら、
清流のみずしぶきのような法要の余韻を汲み上げる。
足の重みが、わずかに倒れて、
気だるく狭窄した視野を、
わたしの胸の滑走路に、大きくひろげる。
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