誘われし澤の奥で/モーヌ。
 
 あって

かれらの 対話を くぐり 抜け

ぼく と ほたるたち と

あたりは 都市の 薄明を のがれ ゆき

やみを もって 雄弁に さざめいた





澤の 身使いが かぶって おります

夜の つばの おおきな 黒帽子の うえに

ほたるは まします

ほう ほたる

やみを はらう あふれかえる 孤児たちが

磨かれた 白羽と なって 待機 して

すこし ずつ すこしずつ はばたいた





ファンタズム から 現実の ほう へ

ほたるは ゆきます

ほう ほたる

かれらは 双生児たち だった


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