神話/葉leaf
ので、ついには、自分が自由に歩き回れることすら恐れ多いと思うようになった。だが彼にも仕事があったので、一日の数分間だけ自分の移動を制限して、そのことによって日ごろ臆面もなくあちこち歩き回っていることの償いをしようと思った。男はまず、地面に一本の線を引いて、その上だけを歩くことで償いをしようと思った。だが、男はそれでもまだ物足りなかった。もっと移動を制限するために、男は空中に綱を張り、その上だけを歩くことにした。毎日数分間その儀式を行うことで、男は日ごろの自由な移動の償いができて、救われるようになった。こうして綱渡りが生まれた。
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昔、ある芸術家が前衛的な作品を作ろうとしていた。四角い
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