神話/葉leaf
 




昔、その国の言葉を全て知っている賢者がいた。だがあるとき賢者は、言葉を忘れていくという重い病気にかかった。国の言葉のうち、あまり頻繁には使われない多くの言葉が失われてしまうことを恐れた賢者は、ある機械を発明した。その機械は、賢者の脳と何も書かれていない本をつなぐもので、賢者の脳から抜け落ちた言葉を、その意味とともに文字として本に書き込むものだった。病気の進行に伴って賢者が言葉を忘れていくにつれ、本には少しずつ言葉が書き込まれていった。賢者が全ての言葉を忘れたとき、本は完成した。この本を後世の人々は辞書と呼んだ。



昔、とても謙虚な男がいた。その男は本当に謙虚だったので
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