白いタルタルソースの伝説(2/2)/hon
カと職員が駆けつけた。熱意のない職員の手と手が平助の体をタンカにひっぱり上げた。
こうして平助は法廷から退場したのであった。
数分後、別室のソファで平助は意識を取り戻した。
すぐ近くで、髪を茶色に染めた年増女が平助に丸い背中を見せて座っており、机に向かって何かを書いていたが、平助が身じろぎして目を覚ますとそちらへ振り返った。女は黒ぶちの眼鏡をかけていた。
「気がつかれましたか」と茶髪の女が言った。
「つねづね誰かを気にかけておくことがすなわち愛着である、と今おっしゃいましたか」と平助は言った。
「気分はどうでしょう」女は平助の顔色を観察した。「立って歩くことは大丈夫そうです
[次のページ]
戻る 編 削 Point(1)