白いタルタルソースの伝説(2/2)/hon
ルタルソースでした。
それは、何か特別なタルタルソースというわけはありません。スーパー・サカエで百グラム二百三十円で購入した消費社会にそぐわしい工場大量生産品のありきたりなタルタルソース。
しかし、まさにその時、その空間に存在していた他でもない唯一のタルタルソースにちがいないのです。
これだ、という確かな実感が雷光のように身体を抜けました。
ぼくは震える手で包装のカバーを破り、タルタルソースを取り出しました。
射出可能となった容器の、ふくらんだ腹の中央部分に両手の親指をあてがい、思いきり押しつぶしました。
先端の射出口から勢いよく飛びだした、頬骨のように白いタルタルソースは
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