白いタルタルソースの伝説(2/2)/hon
 
スは、明確な放物線を描きながら中空を飛翔していって、男の子の肩口に斜めに付着し、また女の子の右腕にも付着しました。
 遠くのどこかで、クラクションの音がひとつ響きました。
 ところで、ぼくは、ぼくという人間は、これまで一生を通じてずっとおとなしくて真面目な人間でした。
 なんなら近所で聞いてみてください。というか、すでに関係者各位が聞き込みはおこなっているでしょうけど、みんながぼくのことを、おとなしい人だったのに、と証言するはずです。ワイドショーのように。
 だって、ぼくはおとなしい人間をずっと演じていました。検事は検事を演じるから検事です。詩人は詩人を演じるから詩人なのでしょう。人生は舞
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