白いタルタルソースの伝説(2/2)/hon
がら歩いていて、すぐそばに近づくまで二人に気づかず、顔を上げた瞬間、唐突に目の前に二人が現れたように感じたのでした。
その唐突さに驚きました。驚きによって通常の感覚が乱れたようでした。空が曇っていた影響もあったのかも知れません。ぼくには急にその二人が、どこから来たのでもなく、どこへ行くのでもない、いつまでもただそこにあるもののように感じられたのです。
ぼく自身についてもまた、他の事物から切り離された存在だと感じ始めました。
それは自分の内から生じて、身体の外まで広がっていくのです。サフランのような胸騒ぎを覚えました。ますます困惑するぼくの気分は、そのとき立っていたT字路さえも、外の世間
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