断想 十二/soft_machine
 

はさみこんで
悦ぶよりもずっと大きな器官で

てのひらのジャンクフードの染色体
温もりを噛み砕いている
ケチャップが拭いきれない唇の女
そしていっぱいのビール
これらはどれくらいの憂鬱を詰め込んだものか
教育科学番組がさわぐ
世界はひとつの生命帯だ

 *

空腹で忙しかった放課後のこと
雨が森の奥の人気ない神社に少年達を誘い込み
繰り返される禁じられた遊び

単眼と複眼に思想はない
砂を浴びせかけられる蟻をする
蟻は人を憎むことも憐れむことも知らされないまま
紙切れのようになってゆく

足をふみならして帰り道をゆけば
ことばもない空に
刻みこむ蟻
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