そんな世界/水在らあらあ
 
けて選手宣誓して
それで立ち去る

誰もが心臓の少し下に
古く深い井戸を持っていて
そこには清らかな水が湛えられていて
それがあふれる時に
文明はダムを作って

そこで君はいったん溺れて
そこで君は一度死んで
俺はそこにバケツを投げただけだ
杉と蜜蝋で作ったバケツを

日の光の中で きらめいて
もう一度その水が青空を映せればいいと思って

いつだったか この心の中にも
清らかな水が流れていた
それらは海に注がれて
生も死もあたりまえに小さくて美しくて恐くて

正午
太陽に向かって手作りの矢を放って
そこからその日を生きるための食事が白いテーブルクロス
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