そんな世界/水在らあらあ
 
ロスの上に振りそそいで
青空が俺たちの悲しみを映して青いんじゃなくて
青空が青空であるだけの世界

裸足で古い獣道を幾日もさまよって血が流れても
涙を流すことがない世界

子供たちがいつでもいつまでも
遊び方を覚えている世界

雲はいつだっていろいろな形のふわふわした動物で
そして雨はいつでも甘くって恵みで

性愛はいつでも死に背中を合わせた奇跡で
そして死は恐怖ではなく出口でもなくただ始まりで終わりで
強者は静かに世界を支えて誰も脅かさなくて
弱者は謙虚に愛情の中で満たされて生きて

古きものたちは忘れ去られることなく
新しいものたちは飼いならされることなく

そんな世界があったら
そんな世界をみんなが願ったら
真っ先に
俺はそこにゆく
恋人の
手をとって











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