そんな世界/水在らあらあ
ロスの上に振りそそいで
青空が俺たちの悲しみを映して青いんじゃなくて
青空が青空であるだけの世界
裸足で古い獣道を幾日もさまよって血が流れても
涙を流すことがない世界
子供たちがいつでもいつまでも
遊び方を覚えている世界
雲はいつだっていろいろな形のふわふわした動物で
そして雨はいつでも甘くって恵みで
性愛はいつでも死に背中を合わせた奇跡で
そして死は恐怖ではなく出口でもなくただ始まりで終わりで
強者は静かに世界を支えて誰も脅かさなくて
弱者は謙虚に愛情の中で満たされて生きて
古きものたちは忘れ去られることなく
新しいものたちは飼いならされることなく
そんな世界があったら
そんな世界をみんなが願ったら
真っ先に
俺はそこにゆく
恋人の
手をとって
戻る 編 削 Point(32)