我輩は藁である。  /服部 剛
 
)(先輩は紫陽花と桜、ど
っちのタイプですか?)(俺かぁ?う〜ん・・・紫陽花だ
なぁ)(ぼくも、紫陽花ですねぇ・・・でも、できること
ならぼくは、ひまわりになりたいですねぇ・・・自分がひ
まわりになって咲いたら、周りの人も、ひとり、ふたりと
ひまわりの花を咲かせてゆく、そんな花でありたいなぁ・
・・)などと言葉を交わしつつ老人ホームへと帰る軽自動
車は川沿いの道を走っていると、川のほとりに幾本の、ひ
まわり達が、密かに僕らを呼んでいた。 

一本道の向こうに老人ホームが見えてきた。運転席でハン
ドル握る先輩Aは(今日のお前はひまわりっていうより藁(わら)
だったよ。運
[次のページ]
戻る   Point(3)