我輩は藁である。  /服部 剛
 
、運転席と助手席に
乗り込み肩を並べた先輩Aと後輩Z。振り向けば、背後に
寝たきり爺ちゃん白目をむいて、うすい呼吸を繰り返す
・・・エンジンかけて、アクセル踏んで、霧雨降る中を
車は走る・・・二人は顔を見合わせて(なぁ・・・言っ
たろう?すぅっといかぬ、一日だ、朝にあんなこと、言
わにゃぁよかった・・・) 

(いっちにのさん!いっちにのさん!いっちにのさん!) 
がたんがたんと、団地の階段を、車椅子は上がる。上か
ら先輩Aは引っぱり、下から後輩Zが支える。ゴール間近
の五階で、先輩の腕力が弱ったので(ただ今帰りましたぁ
〜・・・!)と玄関を開けた後輩。ここは出番と白目を
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