我輩は藁である。  /服部 剛
 
終える
と、眉間にしわをよせて泣きそうな、先輩Aが食堂に
現れ(おぃ・・・他部署の寝たきり爺さんが高熱だ、
自宅の五階まで送るので、すまんが一緒にいってくれぇ
・・・)それを聞いた後輩Zは心の内で「おぃおぃまじ 
かよ・・・もう勤務終了時間だぜ・・・これから友の
ライブにいくのになぁ・・・」と愚痴りつつ、うるうる
うったえる先輩Aの瞳をみると(いえっさー、ただちに
出動します) 

白目をむいて、口あけた、ベッドの寝たきり爺ちゃんに
声をかけ、三十八度五分の熱い体を起こし、車椅子に乗
せ、玄関外に停車した、お尻のドアを開いた軽自動車に
乗せこんでタイヤを四つ、固定して、運
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