白いタルタルソースの伝説(1/2)/hon
 
の中にはいるということで、一応諸君らに説明したのである――と、彼はひどく憤慨の様子を見せるのだった。
 なぜその教師が性善説にそんなにこだわって憤慨したのかはよく分からなかったが、長年の職業経験がもたらした帰結というものだろうか。秩序が善であり、無知や混沌が悪であると考えてみれば性悪説を採れなくもない。そのとき盲目的な怒りに駆られていたいた教師の顔はなにかの動物に似ていたようだったが、ぼく自身は、そういう二元論のどちらにも与したいわけではなかったのだ。
 以上のようなことを、平助は身振りを交えて、しだいに顔面を紅潮させながらまくしたてていたのであった。
 その時、カアンカアンと槌の音が場内に
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