銀河鉄道の旅1/ワタナベ
 
のですがその日と時間に合わせて盤をまはすと、そのとき出ているそらがそのまま楕円のなかにめぐってあらはれるやうになって居りやはりその真ん中には上から下へかけて銀河がぼうとけむったやうな帯になってその下のほうではかすかに爆発して湯気でもあげているやうに見えるのでした。またそのうしろには三本の脚のついたちいさな望遠鏡が黄色に光って立っていましたしいちばんうしろの壁には空ぢゅうの星座をふしぎな獣や蛇や魚や瓶の形に書いた大きな図がかかっていました。ほんたうにこんなやうな蠍だの勇士だの空にぎっしり居るだらうか。ああぼくはその中をどこまでも歩いてみたいと思ったりしてしばらくぼんやり立って居ました。
 以下、(
[次のページ]
戻る   Point(3)