海の児のうた/モーヌ。
が まじめに プールに 通う!
K先生が 愛の 木かげを 背後から さして
すきとおった 羽根で 飛ばせて くれる
日に 焼けた 時間が あまく くるしく なる
ビーナス よりも おくれて エロス が めざめ
レーモン・ラディゲの 走り書きを くりかえす
わざと だんだん うまくなる ふうに 見せた
トマの 泳ぎの にせの 進歩の たびに
先生に 大きいような 黒く やさしい眼で
のぞき込まれた ときの 10センチの 恍惚...
“ ぼくは 騎士に なるんだ ”
ばかな トマは おもって いた
半ば くだけた
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