あまのがわ/前田ふむふむ
舞ってあるのだろうか。
私信。
「あなたとの約束は、守れそうにはありません。
きょう、やはり、たいせつな日です。
雨が降っていますが、
あの草のにおいのするところに行ってまいります。」
・ ・・・・・
しばらく、なだらかな素数の羅列が、
軟らかくなった脈拍の上に引かれる。
その最後尾を、三度の閃光が通り過ぎて。
・・・・・
雨は、蟻の隊列にも、休息を与える。
だから、弱い採光を、ステンドガラスから灯して、
講堂は、わたしに、赤々とした呼吸の滑らかさを与えて、
流れるみずいろの序奏のために
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