「 教室。 」/PULL.
 
?。」
「やめました。」
「へえーえらいね。
 それっていくつの時。」
「十五の冬に、
 です。」
「へえ…。
 それはえらいね。」

男は意外そうに、
あたしを見た。

「これでも色々あるんです。」
「なるほど。」
「本当ですよ。」
「その顔と言い方が、
 本当にほんとうらしい。
 ということにしておこう。」
「何ですかそれ。」
「何だろう?。
 まあいいじゃない。
 生きてれば、
 みんな何だってあるよ。」
 
そう言うと、
男はまた煙草を一息、
吸った。
軽く煙を吐き、
教室の壁を指差した。

「あそこの壁の黄色いの、
 わかる?
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