輪廻の雨/千月 話子
 
浮き上がり
世界中のつがいが
私達のいる方角を見つめる
 「幸福が感染する一瞬」
ただそれだけの事で
私達の美しい 病


向こう側の窓辺で少女が笑う
両手を胸の辺りで合わせ
そして 小さく手を振る


彼女も探しに行くのだろうか
見通しの悪い雨を開いて
美しい指先を 隙に差し込んで
開いては踊るように
開いては歌うように
行ってしまうのだろうか


雨はもう雨ではなく
恋を探す少女の紡ぐ銀糸
世界中の東屋は
銀色に光る 鳥かご
雨の降る日は そっとしておいて


膝の上であくびする
ヘンリー・・・
お前もいつか柔らかい身体を輝かせ

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