「ものとおん」#10−#12/リーフレイン
 
へ伸びて切れていた
壁に触れ、涙を流す

供物を持って
花の種、花の苗、草の実、樹木の苗
彼らは、壁の回りの土へそれらを埋め、自然の行いに任せたまま去っていく
庭では、さまざまな植物が繁茂し、枯れていく

庭に旗を
旗はいつかの旅人が作り、かなたの旅人が立てる
ガラスの壁が開かれ、新たなレリーフが現われる
巡礼が始まる

ガラスのレリーフ
言葉を教わることがない男は 人の手の温かみも知らず母の乳房も知らない
女の秘所の香りも知らず、自らを慰める術も知らない
世界の地図を夢見ることもなく、怯え、吠え、眠る
生まれてこのかた一度も髪を切ったこ
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