「ものとおん」#10−#12/リーフレイン
いいから一緒に流れていきたいとまじめに考えるが
結局のところこうやって見送ることが、生活ってもんかもしれないと
残念に思いながら ほっとして空っぽになったコップを眺めている
#12
TABIBITO
オメラスを出た旅人たちが時折訪れる庭には
ガラスの壁が屹立している
ガラスにレリーフが
生まれたばかりの赤子が顔をしかめて泣く
数十年も世の中で生きていたかのように皺深く、疲れきった目をしている
硬く握り締めた拳に握っているのは臍の尾の端で、
それはまだ母の胎内に繋がっているのか 壁の向こうへ伸
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