「ものとおん」#10−#12/リーフレイン
前です。」
「はあぁ? お前いったい何モンだよ」
「ああ、またそういう事を。情けない、忘れちまったんですか? あたしはあんたの女房で、この子は長男の均です。」
「俺は結婚なんかしてやせんぜ、おまえさん人ちがいしてないか?」
「してません。」
女と赤子はずっぱりと言い切ったまま、俺の部屋に居座った。
ベビーカー一杯分の荷物が運び込まれ、紙おむつやら着替えやらが部屋の片隅に積まれていく。 その所帯臭さに押しやられるように俺は黙り込んでしまった。
毎朝6時、日雇い土方仕事へ出るわけだが、翌日から朝ご飯が出現するようになった。 仕事上何がいるかよく知った風で、ペットボトルに
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