「ものとおん」#7−#9/リーフレイン
かいひびが線になっている皿に添えられているはしは
祖母が葬式の棺おけのなかで挿したカンザシに似ていた
{引用=
大八車の車輪をちゃぶ台にして蓮の葉を敷き、お膳が供される
あれは薪を満載して町に運んだ車だった
コロという名の大型の犬が皮ひもを肩にかけられて一緒にひいて歩いた
コロが死んだあとは、自転車を買った
重くてがっしりして、めったなことでは壊れない
サドルは高くて硬いから、背の低い祖母はペダルの上で立ちこぎをする
祖母のこぐ自転車がちゃぶ台の回りをぐるぐる走る
数年前に父親を一人皿の上に載せて差し出した
父は半身になって返され、真半分のまま生活して
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