夏/はじめ
 
 君の素敵な顔
 君が街の近くにある山にいるような気がした ふと山崎まさよしの歌を思い出した
 街も山も涼しくなっていって 太陽が海に沈んで蒸発させて塩を飛び散らせてしまえばいいと思った 空が暗くなり 星が太陽の代わりに瞬き始めるようになった
 夜は波の音が綺麗だった 月が浮かび 人魚が飛び跳ね出てくるような雰囲気だった
 星が宇宙の内臓のように無数に輝いていた こんな空があっていいのかと思うほど 図鑑でしか見たことがないような星空が眼前にあった 僕は息を飲み 近くへ寄った
 自転車は泣き顔で僕を見ているように見えた 僕は街へ行くことにした
 街だって あの星空に負けないくらい異常に輝
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