微笑みの価格/clef
 
のか 
見る度に考えるだが よく分からない  
小さな声で それでもはっきり聞こえる ありがとうございます 
「す」の後で ちょっとだけ 口角が上がり 伏目がちにほほえむ 
今日は フォローらしく新人レジ打ちの後ろについていた 
新人がレジに出る金額を復唱するたび 消えかかる語尾の「はい」 
そのたびごとに ちょっとだけ 口角を上げ 伏目がちにほほえむ 
誤りは決して許さぬ構えの おばさんの眼差しは 
レジを打つ人へ注がれる 
鋭い視線は 卓球台の球のように 品物とレジの液晶の金額を
交互に行き来する 
そんなときでも はい や 笑顔は変わらない  
なぜ 自分
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