「ものとおん」#6/リーフレイン
 
たったころ、2階から蛇が降りてくるのに出会った。目が合う。暫くして、階段のへちをするするっと降りはじめた。少し動転したらしく最後の3段ほど、ぼたっぼたっとたごまるように落ちた。

妻が半纏を縫っている。真綿の10センチほどの布を上手にゆすりながらほぐしている。聞くと、一つの繭から一枚のハンカチのような真綿ができるそうだ。それだけでは詰まり過ぎているので、さらに広げて空気をいれていくらしい。ふわふわの綿飴のように手の中から溢れていく。宵のうち、居間で妻が縫い物をしているのを見ているのはとても好きだ。

庫裏屋の板の間に座っている女が見える。ほつけた日本髪を結っていて粗末な紬をまとい、半襟の代
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