雑感1/松原 台
 
ものは、こちらに、確信、というか、何か強い気持ちを起こさせる力を宿している、とでも言えばよいのか。
 消去から免れて、紙媒体にプリントされた写真の中にも、時間がたつにつれ、輝きの喪われていくものがある。
 物理的な問題から、私はこれらの写真もまた、思い切って棄ててしまいたいと思う。だが、ひとたびモノと化した写真は、そう簡単には棄てることができない。写真自体が持っている物質的な存在感に、私の心が惑わされる為である。特に、モニター機能の無い銀鉛写真の場合には、プリントをした後で、その写真の出来不出来を判断することが多いので、尚更棄て難くなる傾向があるように思う。
 さまざまな場所の町並みを撮影し
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