抑圧された記憶/はじめ
は話の途中で全てを思い出し 発狂しそうなのを必死に抑えて両手を強く握り締めながら涙を流し すみませんでしたと深々と頭を下げた 数日後僕は退院し 数年間刑務所で服役していた そして出所後 合わせる顔などないままに彼女の遺族達に会いに行った そこで散々罵倒雑言を浴びせられて外に弾き飛ばされた 彼女の妹だけは僕の味方だったようだが遺骨の前で拝ませてもらうこともできずに もう二度と来るな と檄を飛ばされ扉を思いっ切り叩きつけるように閉められた 僕は心に深い傷を負ったまま彼女の街をあてもなく彷徨い続けた 会社を辞め 勘当されて飛び出した家にはただすまなかったと電話を入れ 港の見える公園のフェンスに体を預けた
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