下着のプレゼント/深水遊脚
 
でいなかったな、と思う。もっと選ぶことにじっくり時間をかけたかった。それに、いざ単身で乗り込む段になって足がすくむ。男を拒む結界でもあるのではないか。本当にそんな感覚だった。時間のプレッシャーは乱暴に私の背中を押し、えい、とばかりにその結界を私は破ることができた。周囲の女性客の目が気にならないでもないけれど、とりあえず選ぶことに集中した。時間が限られているのでさくさくと絞り込む。なるほどショップのなかではエリアごとに雰囲気の違うアイテムがまとめられていた。それなりに高級感があり、着心地がよさそうで、ちゃんとその日の雰囲気を演出できるもの、これらの条件で絞り込むと行くべきエリアはすぐに特定できた。店
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