森番?透過する森のなかへ/前田ふむふむ
#32363;がれた家族の手は、
(わたしたちのなかで続いている
太い線が点に見えた空気のブレを感じながら。
父の遺骨に触れ、その子供のような、
小さすぎる軟らかさに、一日を彼岸まで、
泣いた。
白昼に刺さる、わたしの背中が、
少し動いている父をきつく抱く。
あのときと同じ、子供のような軽さが熱を帯びてきて、
わたしは、いつまでも、
父をおぶっていられると思う。
・ ・・・・・・
ふいに、海を見たい衝動にかられて、
生まれたときから、壁に吊るされている、
古い額縁に納まった絵画を――、
解体のために錨泊地に向う軍艦が浮ぶ海を
撫でるよう
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