森番?透過する森のなかへ/前田ふむふむ
 
ように見つめる。
あの夕陽に見えるひかりは、
世界を何度も縛りつけていて、微動もしない。
わたしの震える性器を貫いて、
その大人びた海に、黄金色の冷たい砂を塗している、
静けさが、毛穴から滲み込んでくる。

あのひかりのなかに、
わたしはあしたを、見ているのだろうか。

みずいろの海が見てみたい。

眼を瞑ると、波のおとが聴こえる。
岬からせりだした浜辺は白く、
透明なさくら貝に耳を当てれば、
溢れるひかりに包まれた、わたしの――、
     度々、わたしに隠れるながら視線を跨ぐ、
     薄紙のようなわたしが、日傘を象る木陰で、
     寂しく蹲っている。
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