繋がっていくもの/はじめ
 
れることなど無く小さな図書館の片隅に埃と歳月に塗れて置かれる運命にあるのだろうか
 そんなことを思い詰めている時 借りっぱなしで延滞していたあの詩人の本を取ってパラパラと何度も何度も読み暗唱できるまでになったページを捲っていると 最後のページに著者のプロフィールが載っていた 私は大学を休んでその詩人の故郷を訪れることにした
 新幹線から乗り換えて電車で初夏の風景を眺めながら詩人がどんな人生を送ったのだろうと考えていた 詩人は国鉄で働いていたらしい 故郷を生涯離れず妻を愛し 子供ができなかったので妻が早死にした後は孤独に暮らし 私と同じようにふと図書館で見つけた無名の詩人の詩集に衝撃を受け 定年
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