夢を信じ続けたら/はじめ
思った 彼女に嫉妬心さえ抱いた 時間はたっぷりあるのに訳の分からない焦燥が彼をジリジリと責め立てた 彼は貧困とストレスでとうとう倒れ 風邪をひいてしまった
夕日の猩猩緋の光がベッドカバーを照らしている頃 彼はまだ高熱と空腹を誤魔化す為にずっと眠っていた 彼は病院に行くお金も無かった このままでは死んでしまうだろうな と彼は思った しかたなく彼は希少価値のある彼女の初版本と切り絵を数少ない友人に売って なんとか病院代を手に入れた
寒気に震える体を抑えて病院で順番待ちをしていると 一際小綺麗で美しい女性を発見した 彼は一瞬自分の体温を忘れた 彼はその女性に近づいていき 鼻水と咳が出るのを抑えて
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