夢を信じ続けたら/はじめ
彼は新聞や雑誌や本から彼女の絵を切り抜き 部屋に飾っていった 彼女の顔を見た瞬間に彼は彼女のファンになっていた さっそくなけなしの金で彼女の小説を全て買い 夜眠るのも惜しんで何度も何度も読み耽った 小説の内容を全て暗唱できるまでになった 彼はこのパリに彼女がいることをとても幸せに思った 彼女に会うことは出版社や警察から禁止されていたが 自分が有名になって対等な立場に立った時に会えればいいと彼は思った
それから彼は彼女の本をお守りにして本を読み耽っていた時と同じように寝る間も惜しんで作曲に取りかかった 日に日に楽譜が山積みされていったが その内のどれも売れなかった 彼は自分には才能が無いと思っ
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