不思議な交際 /服部 剛
 
風船の顔をした 
君の彼氏が 
口先ばかりの愛を囁くので 
「 死にたくなった 」と 
君は深夜のメールをぼくに送る 

驚いて、瞳もぱっちり覚めたので 
深夜の散歩で月を仰いで 
川のほとりでたたずんだ後 
精一杯の声援を 
封筒に入れ 
独りの夜に震える君がいる 
パソコン画面の向こうへ 
投函した 

翌日の夕暮れ 
仕事を早く切り上げて 
電話ボックスに入り 
君の携帯番号を押す 

緑の受話器越しに 
ふにゃりとした君の声が 
唇を開いたので 
くだらぬジョークを連発すると 
昨日の深夜が嘘みたいに 
笑い声が受話器からこぼれた 


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