【小説】朝の食卓にて/なかがわひろか
 
ことによって開始された。
 けれど僕らの行う喧嘩は、毎日歯を磨いたり、顔を洗ったり、お風呂に入ったりするような極めて習慣的なことだったから、しないとなんだかうまく一日を終えられないような感覚に陥って、二人でなんとなく笑い合うことも多かった。
 僕らはあくまで普通(マジョリティ的に考えての普通だ)のカップルだったと思う。
 僕は時々とてつもない幸せを感じることもあったし、それはきっと彼女もきっと同じだった。
 僕らは、ある日、それも一種の習慣であるかのように、別れた。
 こんな風に言うと、とても円満に別れたように聞こえるけど、もちろんそれは決して間違えでは無いけれど、僕は(今では
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