【小説】朝の食卓にて/なかがわひろか
だった。今日これから起こるわずらわしい仕事のいざこざや、うんざりする満員電車のことなんか一切どこか遠くへ葬り去るような力があった。
とにかくいちご入りのヨーグルトを食べる彼女はとても魅力的だった。
彼女は何をやっても器用にこなす人だった。
料理をすればレシピが無くても見様見真似でお店に出てくるような質の料理を作ったし、勉強だってよくできた。彼女は大学時代ダンスサークルに所属していたので、リズム感も良くて、僕は何度か彼女のダンスを見たことがあったけど、それはうまく言えないけど、とてもちゃんとしたダンスだった。
僕らはよく喧嘩をした。それはいつも些細なことを僕が指摘すること
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