隙日/ヨルノテガム
 

プラットホームは壮観な無人であった
売店は静まり、自動販売機は少し楽しげに存立して見えた
やがて電車が予告なく幽霊のように到着して
空っぽの箱はふすまを開き
わたしを消し去る場所へ
吸い込んで息を止め
発車する

三、
早朝であるかなと最初は思われた
確認のために太陽を仰ぎ探し見ることはしなかったのだが
白々とした明るさでもなかった、スズメのコーラス無く。
無人の改札口を通り過ぎ(駅員が奥に隠れていることはままあるのだ)、
エスカレーターに足を踏み入れる
上りきって駅から見える街は
ゴーストタウンそのものであった
よそよそしく歩み進めるもせまり来る視野には

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