漂流/黒川排除 (oldsoup)
橋の下は土。しおれた草に精気を奪われた土はその都度水に溶け出した。濁流が深みを増すのを目の当たりにしている。弛緩したくちびる。下あごなどはずっと震えている。雨が降る前からずっとだ。フード付きの雨具。フードの口は大きく天上を仰いで降り注ぐ雨水を飲んでいる。フードの喉は彼の背中。尻を通りようやく土へ到達するのだ。川の隔てる陸地のどちらにも彼は属していない。流れ自体をじっと見つめながらその流れに育まれた文化には興味が無いのだ。川と橋は同じだ。流れるものを分析することで何があるかは容易に想像がつく。川は流れていて橋は腐っている。もう少しだ。変拍子はまだやまない。雨も足音もとどまり続けている。彼はフードをか
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