オオカミの女の子/リヅ
 
=夜の静寂は日に日に増していって
ベッドに体を埋めてもよく眠れなくなりました
ようやく眠りに落ちると底の方にいつも同じ夢が沈殿していて
自分を呼ぶ声のです

 こっちへおいでよ 町は楽しいよ

やめて あたしはオオカミなの
蝶は捕まえられなかった
行けないの
あたしは醜い
あたしは何も持ってない

跳ね起きて、孤独ばかりが募って、夜を繰り返して、それでも声は、「アイラブユー」でもなく、「アイニージュー」でもなく、呼ぶ声が、}

七本目のタバコに火をつける
いつかあたしのくだらない男の話を
あの娘はやっぱり伏し目がちに
それでもちょっとだけ興味深そうに耳を傾けてい
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