オオカミの女の子/リヅ
蝶を一匹 捕まえないと町へは出られない
だけどいつも蝶はオオカミの女の子の手をすり抜けて
青空の下 ひらひらと
手の届かない場所でそれぞれ好き勝手に愛の言葉を囁くのでした}
男を知らないあの娘
お酒を飲まないあの娘
タバコも吸わないあの娘
今日も眠ったまま生活してる
オオカミみたいな顔で遠慮がちに笑ったり少し悲しそうな顔をしながら
車のクラクションや誰かの笑い声に怯えながら
鏡を恐れたりして
五月の空は去ろうとしているけれど
あたしとあの娘は席を立てずに
アイスコーヒーの氷がだらだらと溶けるのをみつめている
{引用=蝶は今日も捕まえることができません
オオ
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