オオカミの女の子/リヅ
はぼんやりと俯いたり窓の外を眺めたりしている
あたしは次の言葉を探しながらタバコに火をつける
とろりとした沈黙が行き場に困っていた
{引用=町からたまに風に乗って「アイラブユー」や「アイニージュー」という声が届きます
オオカミの女の子はそれを聴くと自分だけの秘密の場所に出かけることにしていました
そこは一面の花畑で
一つ一つの花の裏には青白く半透明に光る蝶がとまっています
触れようとするとそれぞれ一斉に飛び立って
「アイラブユー」や「アイニージュー」と囁くものだから
オオカミの女の子は町の人間はみんなこの半透明の蝶を持っているんだと思いました
それじゃぁあたしはこの蝶を
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