ヨルムンガンド(無限との対話)/下門鮎子
 
ゃないのがこの世界

その口から尾を離せ、

この世のものではないその姿が
ここでは何と呼ばれるか知っているの?
わたしに聞いても無駄
知っているならとうにその名を呼んで
あなたの存在を暴いている。
するとあなたは霧と消える、
そうして、わたしも
ひとつ消える。

なるほど、いつも相撃ちなのだ、
『あなた』を倒しているときは――

あなたの姿は
神がこの世に忍び込んだもの。
そうね、死ともいう。
死には姿などない。
わたしは後に生まれた者。

光が死んでわたしは目覚めた
口から尾が離れていった、
それは神々の黄昏の幕開けとなった。
わたしは雷神と相
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