「 人魚の涙。 」/PULL.
ど、
じっとカミダさんの涙を見ているうちに、
カミダさんの涙も他の男の人と変わらなくなって、
どうでも、
よくなった。
どうでもよくなったので、
別れましょうと切り出すと、
カミダさんは、
また泣くのだった。
泣きながらひどい目で、
あたしをじっと、
見た。
だから、
あたしは窓の外を見て、
窓の外は雨で、
雨の音がやさしく聴こえて、
だから、
カミダさんは雨よりも激しく、
ざあざあと泣き続けた。
あたし、
その夜の終電が気になった。
三。
ひどく、
傷つけた。
いたたまれなくなって、
抱きしめてあげた。
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