【小説】昼間の会話、神の存在/なかがわひろか
 
どうだい。びっくりしたろう、と言わんばかりに。

 つまり。

 またタイミングを置く。少し僕は苛立っているが我慢した。

 「人々にとって俺は存在そのものが絶対なんだ。」
 僕は少し考えて、
 「要するに、あんたはみんなの概念としての存在だ、故に神だ、と言いたいんだな。」
 男はああ、そういうことさ、と少し嬉しそうに言う。
 僕はもう一杯コーヒーを飲むかいと男に聞く。
 男は手を振ってもういいと言う。
 僕は自分の分だけコーヒーを買って、一口飲む。
 「存在」
 口の中で唱えてみる。なんだか曖昧すぎて、コーヒーの味にすぐ負けて簡単に僕の胃の中に収
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